デジタル庁によるデジタル能力の集中化 ~ 行政第一線の主導による真のデジタル社会形成価値創出への第一歩

デジタル庁発足

デジタル庁が発足した。政府のデジタル能力をデジタル庁に集約し、民間企業からデジタル人材が大量に参画し、政府のデジタル能力を積極的に集中化している。

これは、新技術やイノベーションを積極的に取り入れ、また、多大な経費が必要となるシステムの投資対効果を追求しつつ、目的であるデジタル社会形成価値を創出するためには、必須な対応である。

成果を期待するには時期尚早ではあるが、デジタル大臣の監督の下、デジタル監のリーダーシップによる積極的な業務執行に依るところが大きいであろう。果敢なチャレンジを大いに期待したい。

デジタル能力の集中化、そして、行政第一線への浸透化

デジタル庁によるデジタル能力の集中化については、当面目指す姿としては正しいであろう。この取り組みにしっかり、確実に対応することが何より重要である。

しかしながら、これが最終目標ではないと考えるべきである。真のデジタル社会形成価値を持続的に創出し続けるためには、それらのデジタル化政策の実行主体である行政の第一線、すなわち、各府省の政策を立案し、制度を企画し、業務を実施する業務部門がデジタル能力を自ら獲得・保有して、国民等ステークホルダーへの行政価値創出に向けて、果敢にスピード感を持って推進することが求められる。

すなわち、デジタル社会形成価値創出に向けた、デジタル組織の集中化によるロケットスタートをひとまず実現し、さらにその先にある、デジタル能力が行政の第一線で当たり前のように発揮されている埋込(Embedded)型へと必然的に流れていくであろう。

グローバルなデジタル組織の成熟度モデル

グローバルビジネスの世界において、組織がデジタル能力を獲得し、最大限のデジタル価値を創出するようになるまでには、その組織の構造の成長過程について、自然な進化、成熟モデルが論議されてきた。

会社組織を起こし、事業が成長軌道に乗り始めるまでは、デジタル能力が企業の主要な事業を推進する業務部門(BU: Business Unit)に分散されていて、部門間の連携がないサイロ化された状態から始まるのが一般的である。

そこから、事業のスケールが拡大し、また、複数の事業を立ち上げるなど、成長軌道に乗せるために、必然的にデジタル化のスケールも拡大し、デジタル能力の拡大とともにデジタル能力を貴重な経営資源として適切な優先順位付け等最大限活用できるように、効率性を主眼にデジタル能力をデジタル化推進部門(IU: Innovation Unit)に集中させることになる。

さらに、顧客ニーズにタイムリーに対応し企業の価値を創出していくために、デジタル化推進部門はベストプラクティスを提供するセンターオブエクセレンス(CoE)機能を持ち、標準化調整機能を発揮するようになり、デジタル能力の発揮はビジネスの第一線が主体的に推進するような埋込型へと進化していく。

結論

デジタル庁の発足趣旨に沿って、政府はデジタル能力をデジタル庁に集中化してデジタル社会形成価値を早急に創出させるべきである。さらに、その先には、よりタイムリーに持続性をもって価値を創出し続けるため、デジタル能力を行政第一線の各府省へ浸透させ、デジタル庁はセンターオブエクセレンスの役割を担うように進化し成熟していくであろう。

ご参考:筆者が作成したガバナンス成熟度モデルの概要と事例情報を提供する資料を以下に添付致します。

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